食料安全保障の分析で明らかになったのは、沖縄県にとって極めてクリティカルな課題であるにもかかわらず、統合的な政策対応がなされていない領域——政策空白——が複数存在するという事実である。本レポートは、県民146万人の暮らしと安全に直結する政策空白を特定し、その構造的原因を分析する。
県政エネルギーの大部分が辺野古・地位協定に投入され、他の政策課題に割くリソースが構造的に不足している。
年間約3,000億円の振興予算が道路・港湾等のインフラ中心に配分され、ソフト施策に回らない。
複数部局にまたがる横断的課題を統合する機能が欠如しており、課題が「誰の所管か」で宙に浮く。
ゆいまーる・なんくるないさーといった文化的言説が、問題の深刻さを覆い隠し、政策対応の緊急性を低下させている。
「平和の島」のアイデンティティと有事準備の政治的ジレンマにより、住民保護の議論すら進まない。
全20領域を「クリティカル度」「沖縄固有性」「空白度」の3軸で評価し、Tier 1(最優先)とTier 2に分類した。空白度「×」は統合的な政策対応がほぼ存在しないことを意味する。
| # | 領域 | クリティカル度 | 沖縄固有性 | 空白度 | Tier |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 有事住民避難(国民保護+シェルター) | S | 極めて高い | × | Tier 1 |
| 2 | ヤングケアラー | S | 極めて高い | × | Tier 1 |
| 3 | 非正規雇用からの脱却戦略 | S | 極めて高い | × | Tier 1 |
| 4 | 不登校児童の受け皿 | S | 高い | × | Tier 1 |
| 5 | 有事生存基盤の統合確保 | S | 極めて高い | × | Tier 1 |
| 6 | 孤独・孤立対策 | A | 高い | × | Tier 2 |
| 7 | 困難女性支援 | A | 高い | △~× | Tier 2 |
| 8 | 下水道未整備×サンゴ礁影響 | A | 極めて高い | × | Tier 2 |
| 9 | 海岸侵食×サンゴ防護機能低下 | A | 極めて高い | △~× | Tier 2 |
| 10 | 地下水汚染(PFAS以外) | A | 高い | × | Tier 2 |
| 11 | 夜間中学・学び直し | A | 極めて高い | × | Tier 2 |
※以下は概算推定値。正確なデータが存在しないこと自体が問題である
個別に見えていた課題は、統合されたとき初めて全体像が浮かび上がる。「日常の課題」と「正面からの議論」は、最終的にひとつの目標——県民の生存的安全の実現——に収束する。
各論テーマの実態調査を優先的に実施する。特にヤングケアラーの県独自調査、不登校児童の受け皿の実態把握、非正規雇用の産業別・地域別分析が急務である。
住民避難と海上輸送途絶に関する県独自のシミュレーションを行う。「台風対策の高度化」として始め、段階的に有事シナリオまで拡張する。
政策空白を埋めるための統合的な戦略を設計する。縦割りを超えた横断的な推進体制と、数値目標を持つロードマップの策定が不可欠である。